そろそろシーラの会webの内容を変えたい(トラウマ関連のポータルサイトのように)と思って、コンテンツのチェックをしています。
2002年5月に書いた、自分自身のDV体験の記事がありました。こんなの書いてたんだーみたいな・・・。(笑)
DV被害から逃れて10数年経ってから書いたものですが、被害を受けていた頃の心境なども綴っています。
古い文章ですけど再録します。
2002年分バックナンバー
できれば・・・
研修会に参加したり、本を読んだり、援助職の方とお話をしたりしながら、DV(ドメスティック・バイオレンス)についての知識を得てきました。ずいぶん昔のことですが、私にはDVの被害体験があります。
殴られる。言葉による暴力。経済的な支配。行動を制限される。監禁。などなど・・・そして、刃物で殺されそうになり、全てを捨てて逃げ出しました。なにもかも・・・。家を出た26歳以前のものは全て失いました。子どもの頃の写真が一枚もないのが今も心残りです。当時はシェルターや援助機関の情報はありませんでしたし、DVという言葉も知られていませんでした。警察に訴えても「家庭内の問題」と、全く取り合ってくれない時代でした。
家を出てから、親の家(すぐに追い出されました)、駅の待合室、ホテル、知り合いの家を転々としました。落ち着くことができてからも、2~3年ぐらいは親にも友人にも居場所を知らせることができませんでした。見つかるのではないかという恐怖で、外を歩くときはいつもびくびくしていました。
その頃今の夫と暮らし始めました。そして妊娠、出産。今は普通に生活していますが、ここまでくるには非常に苦しい日々がありました。「何故、私だけが全てを失わなければならなかったのか」「加害者はのうのうと暮らしているのに」「こそこそするのはもういや」など・・・。言葉にならない程の怒り、憎しみ、悲しさ。理不尽としか言いようのない思い。
いくら援助が行き渡ったとしても、被害者はそれまでの生活をあきらめなければなりません。やりかけていた夢も、将来の計画さえも変更せざるを得なくなります。被害者だけが苦しむのです。
まったく暗澹たる思いです。
イスラエルではDV加害者を「男の家」に収容して、4ヶ月に及ぶプログラムや治療でDVからの回復をさせるという方法行われているそうです。女性は、それまで通りの生活をすることができます。男性が家に帰ってからも、その後3年間、パートナーの女性からの定期的なレポートが提出され再発防止がはかられます。このプログラムは、かなり成果が上がっているそうです。日本での加害者に対するケアの試みは、自助団体などにより少しずつ始まっています。しかし、加害者のケアが法政化されていないために本人の意思によるところが大きいのです。加害者に問題意識が無いと治療に繋げるのは困難を極めます。
私は幸いにも命を落としたり、重傷を負うような事態にはなりませんでした。つまり、何とか生き延びることができたのです。そして、苦しみながらも、自分の人生を取り戻すことができました。失ってしまったものより、多くのものを得ることができました。
でも、あのまま留まっていたなら、今頃は・・・。
被害者にとっては、まだ厳しい状態が続いています。それでも敢えて言いたいのです。できれば、なるべく早く危険から逃れてください。自分を守る為に、そして自分の人生を取り戻す為に。
自分でも赤面するほど稚拙な文章(今も成長の跡が見られないという感想はこっそり小声でお願いします)ですけど、切実な感じは伝わっているかなと・・・。
>「何故、私だけが全てを失わなければならなかったのか」「加害者はのうのうと暮らしているのに」「こそこそするのはもういや」など・・・。言葉にならない程の怒り、憎しみ、悲しさ。理不尽としか言いようのない思い。
私がDV被害から抜け出して20年・・・。
年を取るはずですね。
でも、20年経った今でも、被害者が逃げ出さなければ安全を守れないという状況は変わっていません。逃げる時が一番リスクが大きいというのも当時のままです。
当時の私は、最後に自分の命が決定的に脅かされて初めて「逃げる」という道を選びました。出来れば逃げたくはなかった。自分の場所や愛着のあるものから離れたくはなかったです。私が加害者の元に留まり続けたのは、「逃げたくない」という思いからでした。
最近ではDV被害者に対して「逃げないあなたが悪い」という声は、小さくなっているのでしょうか。
「逃げたいけど逃げられない」というのは、多くの人に認識されるようになりました。では、「逃げたくない」という思いはどうでしょう。
なぜ被害者が、馴染んだ場所を離れ無ければならないのか・・・。
被害者支援が進めば進むほど、この傾向が強まっているようにも思います。
危機介入する時は、結局「逃げてください」としか言えない自分。
被害者支援をしている「私」はこのジレンマに今も苦しんでいます。
加害者を遠ざけることは出来ないのか・・・。
加害者に対する期限付きの退去命令ではなく、被害者がずっと、その場で安心して暮らせる方法はないか。切実にそう思います。
