2009年06月26日

「児童買春・児童ポルノ禁止法改定案」が審議入り

とりあえずメモ

「与党が検討中の児童ポルノ規制法の改正内容にも反映させていく考えを示した」
ほんとは、こっちを推し進めるためのダミーなんじゃないの?
という推測(邪推といわれるかも)をしているわけです。

単純所持禁止とか、アニメ、ゲーム規制とか。
かなり危険なことを考えておられるようですし。
そっちの方が為政者にとってはメリットがあると思われ・・・。


先日「穏便に書いたけど・・・」で上記のように書きましたが、心配していた通りのことが起きようとしています。

保坂展人のどこどこ日記 によると、「漫画、アニメに対しての規制は見送られたが、検討事項とされた」そうですが、与党案では
「何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、又はこれに係わる電磁的記録を保管してはならない」

「自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した者児童ポルノに係る電磁的記録を保管した者」について「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」
となっているそうです。

単純所持の禁止や児童ポルノの定義ついて、私は保坂議員とは少し違う意見を持っていますが、それはあす以降に。


参照
『Santa Fe』を1年間で処分すべしとする与党案に驚く

「児童ポルノ単純所持」と表現の自由・内心の自由について

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2009年06月25日

【裁判員制度】続報

裁判員制度における性暴力犯罪被害者が抱える問題ですが、色々なところで沢山の方が関わって活動が続いています。

アジア女性資料センターさまのサイトが更新されていますのでお知らせします。

裁判員制度問題:その後のご報告

以前のエントリで言及した「選任手続き上の性暴力事件被害者のプライバシー開示問題について、最高裁が対応策を打ち出したという記事」の元になった6月4日の意見交換会の報告と加賀谷健参議院議員が提出した質問趣意書とその回答が紹介されています。

質問趣意書と回答を転載しておきます。
参議院ホームページ質問趣意書情報より

加賀谷健参議院議員が提出した質問趣意書

第171回国会(常会)
質問主意書
質問第一九四号

裁判員制度における性犯罪被害者に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年六月二日

加 賀 谷  健   


       参議院議長 江 田 五 月 殿


   裁判員制度における性犯罪被害者に関する質問主意書

 裁判員制度が本年五月二十一日からはじまった。同制度は司法改革の柱と承知している。また、最高裁判所はその裁判員制度のホームページの中で「国民のみなさんが刑事裁判に参加することにより、裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する国民のみなさんの信頼の向上につながることが期待されています。」としている。こうした中で、五月二十日付け毎日新聞の報道にあるように、多くの性犯罪被害者やその支援者から、守秘義務のない裁判員候補者に被害者の情報が伝えられることにより、二次被害が起きる危険があるとの指摘がなされている。性犯罪被害者は、社会的な偏見のため、第三者に事件を知られることで二次被害を受けることが多く、中には社会生活が困難になったり、長期にわたり深刻な精神障害に苦しむ者もある。こうした性犯罪被害者の懸念にこたえ、裁判員制度においては二次被害を防止する確実な対策がとられるべきとの観点から、以下のとおり質問するので、それぞれ政府の見解を示されたい。

一 多くの性犯罪被害者が経験している二次被害の深刻さについて、政府はどのように認識しているか。裁判員選任手続きにおいて性犯罪被害者の情報が開示されることにより、二次被害が生じる危険性について、政府の認識はいかがか。確実な二次被害防止策がとられなければ、被害者が被害届をためらい、ひいては性犯罪の処罰・防止に支障が及ぶことが危惧されているが、政府の見解はいかがか。

二 五月六日付け読売新聞(西部版)の報道によれば、裁判員選任手続きの際、候補者に事件との関係の有無を確認するため、数十人から約百人の裁判員候補者に対し、被害者の氏名などが伝えられる可能性があるが、裁判員に課せられる守秘義務も候補者には及ばず、情報を他人に教えても罰せられることはないという。以上の報道は事実か。事実と異なるとすれば、実際には、どのような手続きにより、どの程度の情報が裁判員候補者に開示されることになるのか。

三 『判例タイムズ』一二八七号、四十九頁によれば、裁判員候補者に対し、被害者特定事項について「口外しないよう依頼する」「筆記しないよう求める」ことが考えられるとされている。これでは確実に情報漏えいを防ぐ手段とはいえないのではないかと思われるが、いかがか。この他に情報漏えいを防ぐ確実な対策は検討されているのか。

四 個々の性犯罪事件について、被害者情報の取り扱いが各地裁の判断にゆだねられるとすれば、人権状況が地域によって異なる状況が生じることになるが、これは問題ではないか。最高裁はガイドラインを作成し各地裁に方針を示すべきではないかと考えられるが、いかがか。

五 五月二十三日付け読売新聞朝刊(西部版)によると、裁判員制度の対象となる強姦致傷罪で、鹿児島地検の次席検事が「性犯罪被害者の個人情報漏えいを防ぐため、地裁に配慮を求めたい」と候補者に被害者の氏名などを伝えないよう地裁側に要請する方針を明らかにした、とされている。この報道に間違いはないか。間違いがあるとすれば、事実と異なる部分を示されたい。また間違いがなければ、地裁側からどのような回答があったのか、また鹿児島以外の各地検等が今後同種の事案に対し、同様の要望を裁判所に行う考えがあるか、示されたい。

六 被害者保護のための刑事訴訟法一部改正では、被害者への負担を減らすことを目的として、被害者からの申し出があり、裁判所が相当と認めるときは、氏名や住所などを法廷で伏せることができるよう定めている。裁判員制度において、性犯罪被害者に対する二次被害防止策がとられなければ、同改正法との整合性を欠くことになるのではないか。

七 裁判員制度における性犯罪被害者への二次被害防止について、今後、被害者や支援者の意見を聞き対策を検討するつもりはないか。

  右質問する。


政府からの答弁書
第171回国会(常会)
答弁書
答弁書第一九四号

内閣参質一七一第一九四号
  平成二十一年六月十二日
内閣総理大臣 麻 生 太 郎   


       参議院議長 江 田 五 月 殿

参議院議員加賀谷健君提出裁判員制度における性犯罪被害者に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員加賀谷健君提出裁判員制度における性犯罪被害者に関する質問に対する答弁書

一について

 犯罪被害者等への支援については、二次的被害の問題も含め、犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)に基づき、「犯罪被害者等基本計画」(平成十七年十二月二十七日閣議決定)を策定して、府省庁横断的な対策が講じられてきたところであり、裁判員等選任手続を含めた刑事手続の過程においても、性犯罪の被害者を含めた関係者の名誉やプライバシーには十分配慮する必要があるものと認識している。

二及び三について

 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)において、裁判員候補者に守秘義務は課せられていないが、性犯罪事件等被害者のプライバシー保護を図る必要性が高い事件については、各裁判所は、裁判員等選任手続において、同法第十七条及び第十八条の不適格事由該当性の判断のための必要性と被害者のプライバシーを保護する必要性との双方を勘案して、裁判員候補者に対する当該事件の被害者を特定する事項の提供の方法及び程度を慎重に検討し、提供する情報や対象者を、右不適格事由該当性の判断をするために必要最小限の範囲に限定するとともに、当該事項を告げた裁判員候補者に対し、これを筆記したり口外したりしないよう求めるなどして、適切に対処されるものと承知している。

四について

 裁判員等選任手続における被害者の個人情報の取扱いは、個々の事案における具体的な情況に応じて判断されるべき事柄であるから、各裁判所における個別的な判断にゆだねざるを得ないものと承知している。

五について

 お尋ねについては、個別具体的な事件の捜査・公判にかかわる事柄であり、お答えを差し控えるが、検察当局においては、裁判員制度の下においても、性犯罪の被害者を含めた関係者の名誉やプライバシーには十分配慮していくものと承知している。

六について

 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百九十条の二等の規定は、裁判所が性犯罪等の被害者の氏名等を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をするなどの措置を採ることができることとするものであり、他方、裁判員等選任手続は公開しないこととされていることなどから、御指摘のように「整合性を欠く」ということはないものと考えている。

七について

 裁判員制度における性犯罪の被害者に対する配慮の在り方等については、裁判員制度の実施状況や、被害者を始めとする関係各方面の意見を踏まえつつ、今後更に検討してまいりたい。


政府からの答弁に対する若干の感想を述べますと

一についての、「二次被害の問題も含めて「犯罪被害者等基本計画」を策定して府省庁横断的な対策が講じられてきたところであり」という答弁ですが、二次被害への対策は全くされていないというのが私の実感です。
具体的にどのような対策を施してきたのか示してほしいところです。

二.三.四.の、被害者のプライバシーに関する質問の答弁も、もちろん最高裁からの回答との違いはないのですが、対策としては不十分であるといわざるをえません。

六については、政府は質問の趣旨が理解できているのかさえ疑問ですね。

ともあれ、最高裁は現在まで文書による回答を拒み続けていますので、政府からの回答とはいえ、文書が出されたのは喜ばしいことだと思います。




posted by akira at 11:37| Comment(0) | TrackBack(4) | 性暴力被害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月23日

批判する相手は・・・。(追記あり)

暴力犯罪ゲーム(一般的には陵辱系ゲームと呼ばれている)規制の件で、多面体さんのblogエントリのコメント欄が荒れていた。あまりにひどいコメントは削除され、一定の配慮をしながら発言するコメンターや多面体さんのレスポンスよって、ようやく落ち着きを取り戻しつつあるようだ。(多面体さんの多大な努力に敬意を表します。どうぞご自愛くださいますように)

かのエントリーがアップされてから今日までの間には、見るに堪えないコメントが数多く投稿され、それを読むたびに「脊髄反射」しそうになる自分を抑えるのが精一杯といった感じだったが、下手にコメントをして批判者を呼び込む事を恐れ、気になりながらも発言は控えてきた。

もうだいぶ前になるが、時折拝見している「SHINAKOSAN IS OKINAWAN」さんのレイプレイ((追記あり))のコメント欄を偶然目にしたことで、思いがけずダメージを受けてしまった。(驚いたことに、まだコメント欄は伸び続けている)
その後、碧猫さんのエントリがきっかけで、はてなブックマークを足がかりにして、方々の議論(?)をできる限り読んでみた。

規制反対を訴えているエントリーがほとんどだったが、個々にその理由は違う。
ゲームの制作側にいる人。愛好家。ゲーム愛好家であっても暴力犯罪ゲームはしない人。同人誌の制作者。その他の人・・・。

暴力犯罪ゲームがなぜ作られるかについては、少ない予算で手間のかかるプロットを取り入れて作り込むことができないから、手っ取り早く性的な場面を取り入れる為に性暴力表現を使っているという事情もあるようだ(そればかりではないのだろうけれど)。しかし、一般的に好まれないこともあり、暴力犯罪ゲームは少なくなっているという。
先日ゲームシナリオを書いている友人(女性)と飲む機会があり、この件について制作側としてはどう思うかと聞いてみた。彼女は主に女性向けのゲームシナリオを書いているが、いわゆる「陵辱表現」はユーザーからの批判が多いそうだ。特にシリーズ物などでは、そういったユーザーの声が次の作品のプロットに影響するということだった。

なぜ、性的な暴力表現を取り入れたゲームを愛好するのかについては、それぞれに違う背景があるようで、制作側の事情と同じように単に性的な表現が多いからという人もいれば、そういった表現を好むといった人まで、様々なグラデーションがあるのだろうと思う。

前々回のエントリでこの件について触れているが、ゲームの内容ではなく擁護派の意見に多く見られる「性暴力」と「性行為」の混同を指摘をした。そのエントリに付けられた「はてブ」のコメントに気になるものがあった。

自分の性の嗜好がノーマルで差別的でないと思う人こそ、レイプゲームは暴力であってポルノではないなどと逃げずにポルノについて自省するべきだ。欲望を矯正する社会より、自制を教化する社会でありたいものだ。


私のセクシャリティーにまで言及されてしまったが(苦笑)、似たような言説はどこか別の所でも読んだ気がする。あまりにも沢山読んだので、どこだったか探し出せないけれど。

セクシャリティは本当に個人的なもので、例えどのようなものを「欲望」しようと誰からも批判されるものではないし、私も批判しようとは思わない。それが脳内で完結している限りは。
現在なぜこういったゲーム(あるいは創作物)が問題にされているかと言えば、その「欲望」が「表現」され、その表現に痛みを感じる人がいるからだろう。私はといえば、ゲームの内容(それも大きな問題ではあるけれども)よりも、それを擁護する人たちの一部で行われている二次加害ともいえる言説に痛みを感じている。


脊髄反射的あるいは過剰反応なコメントが多いのは、なぜなのだろうか・・・。
ゲームを批判されたことで自分のセクシャリティそのものを批判されたと思いこむとか、自分の趣味を取り上げられると思うとか・・・。

多くのコメントで「ゲームと現実の区別はついている」と繰り返し表明されている。それは確かにそうなのだろう。
しかし、ゲーム愛好者は実際の性暴力被害者の痛みにコミットしなくてはならないのか?という問いも、ちらほら。

これは私の推測に過ぎないけれども、実際に直接的な被害者が存在しないゲームという表現だからこそ、彼らは安心して自分の欲望を発散することができるのだろう。つまり、現実の事件による被害者の痛みを切り離すことによって、心おきなく表象に欲望することができるということ。だからこそ、彼らは被害者の声に過剰反応するのではないか。
ぶっちゃけた話「私を正気にさせないでくれ」ということなのだろうと想像する。(もう少しくだけた表現にしたいところだけど、あんまりなので自粛)

※「彼ら」と書いたが性別には拘泥してはいない。


暴力犯罪ゲームの内容を批判する人、あるいは嫌悪感を抱く人(そのほとんどは規制に反対している)の意見に対して真摯に向き合おうとしている擁護派の人達にとっては、そのような脊髄反射的で二次加害になりかねないコメントはノイズであるばかりか、規制を推し進めている陣営から利用されかねない脅威であるはずだ。

最近の議論の中では、上にあげたような、ゲーム内容を問題にしている規制反対派の人たちから、同じような指摘がされているのを方々で目にしているが、ゲーム擁護派の方達から、それらの言説に対する指摘や批判は余り見かけない。規制を推進する陣営への表だった反論やアプローチも。

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7月1日追記:「表だった反論」とは、ネット上の主だったところでの反論(匿名も含む)のつもりで書きましたが、言葉が足りず誤解を生んでしまいました。申し訳ありません。

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批判する相手は、実際に規制を推進しようとしている人達なのではないかなぁ。


ご注意(このエントリのみ、お読みいただいている方へ)
・○○派という表現は便宜上のものであり、そのような派閥があるとは考えていません。
・私は陵辱系ゲームの内容に嫌悪感を持ってはいますが、それらをプレイしている人を嫌悪しているわけではありません。
・表現規制には反対です。
・「はてな」や「FC2」にはTBが通りません。TBできなかったリンク先の皆様すみません。


参考:
性暴力と性行為の混同か、性暴力の性行為への読み替えか
http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20090620/1245531573
オタク界隈におけるエロ表現のカジュアル化とは?
http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20090619/1245379415

Eros or Violence
http://uchya.blog109.fc2.com/blog-entry-1200.html
コメントにお答え
http://uchya.blog109.fc2.com/blog-entry-1201.html

性暴力ゲームについて
http://taraxacum.seesaa.net/article/121899674.html

「表現の自由」万歳!
http://blog.livedoor.jp/gegenga/archives/51677035.html

自分の性的嗜好って、ポルノなのかな? - たまごまごごはん
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20090624/1245788382

他人の不幸はアンタのズリネタですか? - 中学生日記「誰にも言えない」放映前の反応について
http://d.hatena.ne.jp/miyakichi/20060703/1151894484
posted by akira at 23:44| Comment(27) | TrackBack(4) | 表現規制 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月13日

穏便に書いたけど・・・

前のエントリ、「性暴力」と「性行為」の違いが分からない人が多すぎる、というのがメインの主張で、そんな法律を作らせたら、絶対恣意的な運用をするから反対。という、ま、とてもシンプルな主張でしたが。

実は内心こっちの方も、かなり心配してます。

日本製「性暴力ゲーム」を批判 自民女性局長「規制を検討」

 自民党の山谷えり子女性局長(参院議員)は22日、国会内で記者会見し、日本の業者が開発、販売している「性暴力ゲーム」を批判し、実態を調査するとともに規制策を検討していくことを明らかにした。
(中略)
 山谷氏は「党の女性局として、このような現状を調査し、有識者とも意見交換して(規制策の)提言をまとめたい」と述べた。山谷氏は、与党が検討中の児童ポルノ規制法の改正内容にも反映させていく考えを示した。

(強調は引用者による)

「与党が検討中の児童ポルノ規制法の改正内容にも反映させていく考えを示した」
ほんとは、こっちを推し進めるためのダミーなんじゃないの?
という推測(邪推といわれるかも)をしているわけです。

単純所持禁止とか、アニメ、ゲーム規制とか。
かなり危険なことを考えておられるようですし。
そっちの方が為政者にとってはメリットがあると思われ・・・。

posted by akira at 18:25| Comment(10) | TrackBack(2) | 表現規制 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

性暴力ゲーム規制に思う

最近いろんな所で話題になっている(まだ過去形ではないみたい)、陵辱系といわれるゲームの件。
気になりつつも、議論は出尽くしている感があるし今更参入する気はないけれども、ここのところずっと関わっている「裁判員制度と性暴力事件の問題」とも無関係ではないと思った。

■Gazing at the Celestial Blue
「表現の自由」は誰のものですか? 

三部作の最終回を読み、なんだか触発されてしまったので「レイプレイ問題」にちょっとだけ触れてみようと思う。
実は、5月25日から数日間「はてな匿名ダイアリー」から、かなり人数が流れてきていた。
http://anond.hatelabo.jp/20090526142059#tb
その日記全文を引用する。
■こりゃ凄いね
やー、レイプレイプ言ってるから、どんな裁判なんだろうと思って調べてみたよ。
http://blogs.dion.ne.jp/akiras_room/archives/8404197.html

【性犯罪の証拠物件】
・被害直後の、ぼろぼろの写真(顔含む)
・太もも、胸、背中、腕、足、などの写真
・診断書 
・被害当時身につけていたもの(服、下着など)
・現場検証での写真(ダミー人形を使ったもの、どこで、どんな体位で行為がおこなわれたか)
・現場の見取り図(間取り図)、写真 

こんなの裁判で見せちゃうんだ!スゲー!犯人と被告を両方目の前にしてコレが出てくるのか!
妄想戦士な俺だったら、ちょっとアレだぞ。
さすがにノーサンキュウのAAが脳裏をよぎったよ。

このエントリの匿名ダイアリー・キーワードは「レイプレイ」
たまたま、文中の「レイプレイプ言ってるから」が、キーワードに引っかかってしまったのかもしれないが、これを書いた増田は「レイプレイ」を意識して書いたのだと考える方が妥当だろう。

文末の「さすがにノーサンキュウのAAが脳裏をよぎったよ。」をどう読むかによって、この匿名ダイアリーに対する評価が変わるとは思うが。
このような被害者の苦悩の扱い方そのものが、レイプレイ問題も含めた、性暴力、性犯罪被害者に対する世間の視線がどんなものなのかを、よく表しているのだと思う。

碧猫さんが一連のエントリを書き始めたころから、少しずつ周辺の議論を読んではいた。
このゲームに対する抗議活動を行っている女性団体の主張は、ポルノにおける性差別表現自体や、それらのポルノが性犯罪を助長する事を問題にしているのではなく、そういった性差別表現を許してしまう日本の社会に浸透している価値観への批判だと考えている。

この批判を受けて、パソコンソフト業界の自主審査機関はレイプなどの性暴力を扱うゲームソフトの自主規制を決めた。そして、自民党女性局長である山谷えり子氏が規制策を検討している事を発表した。
参照:性暴力ゲームの製造・販売禁止へ…業界の審査機関が方針 YOMIURI ONLINE
参照:日本製「性暴力ゲーム」を批判 自民女性局長「規制を検討」(魚拓)

あちらこちらでの議論を読んでいて、その言説(の一部)が性暴力犯罪被害者へのセカンド・レイパーの物言いととても似ている気がした。多くエントリで「レイプ」を性行為だと思いこんでいる人のコメントがあった。

陵辱系といわれるジャンルのゲームは「エロゲー」ではなく、暴力犯罪ゲームだと思っている。これをポルノとして議論すること自体、無理があると思う。
(法による規制を望んでいないことだけは明言しておく。なぜなら、政府が表現の自由を規制する法律を手に入れれば、恣意的な運用をすることが目に見えているから。私は、自分の首をしめるような法案の策定に手を貸す気はない)

この件に対して、多くのことを語る言葉は持っていないけれど、規制しようとしている陣営(保守系議員達)が持っている、性に対するゆがんだ認識についてだけは言及しておきたい。

今年の3月に「七生養護学校が行っていた性教育に関する裁判」に東京地裁から、七生養護学校側、勝訴の判決が出た。

養護学校の性教育に「介入」 都と都議に賠償命令
http://www.youtube.com/watch?v=wjNyt9QVpH8

詳しくはリンク先の動画を見ていただきたいが、そもそもなぜこのようなことが起きたのか
「七生養護学校で起きたこと 」より引用する
http://www.cafeblo.com/safrica/entry-5538c258df058c99f322af9c1dc24454.html
ことの発端は、都議会で「行き過ぎたジェンダー・性教育」に懸念を持つ議員が、当時の東京都教育長に、この頃七生養護学校で使われていた『からだうた』という歌の歌詞について「質問」しました。

この『からだうた』の歌詞をここで書き記す前に、これがどういった目的で作成されたか、という背景を説明したいと思います。

知的障がいのある子どもたちにとって、思春期に入って、自分の体が大きく変化すること、その変化が性的にどういう意味をもつか、ということを理解するのはかなりの困難が伴います。そして、知的障がいのある子どもたちの周りにいる大人にとって、この子たちが性犯罪の被害者に、そして加害者にならないためにはどうしたらいいのか、ということが大きな、そして切実な問題となってくるのです。

そこで、七生養護学校の教員たちは、子どもたちに、「自分の体はとっても大切なものなんだよ」、というメッセージをしっかり学んでもらうことにしました。その教育活動の一環して、体の部位の名称をリズムに乗ってゆっくりと教えるためこの『からだうた』を作り、子どもたちの理解を促そうとしたのでした。

『からだうた』は授業の始まりに同性の先生と1対1になって、歌に合わせて体に触れてもらいながら(性器には触れません)、心の交流を深め、体のつながりや名称を意識させていく歌遊びです。

*************************
あたま、あたま、あたまのしたには首があって
肩がある、肩から腕、ひじ、また腕、手首があって
手があるよ(右と左を繰り返す)。
胸にオッパイ、おなかにおへそ、おなかのしたが
ワギナ(ペニス)だよ、背中は見えない、背中はひろい、
腰があって、お尻だよ、ふともも、ひざ、すね、足首、かかと、
足のうら、つまさき(右と左を繰り返す)、おしまい
*************************

皆さんは、この歌詞がこういった状況の元、養護学校というある意味においては、特殊な環境で教師が生徒たちに懸命に自分の体のことを教えようとしていることに関してどんな感想をお持ちになるでしょうか。

あるひとりの教育者の意見を読んでください。

「とても人前では読むことがはばかられるもので……極めて不適切な教材でございます」

この感想の主は当時の東京都の教育長のものです。

子どもは性暴力から身を守るすべを持たない。
それは、力がないからだけではなく、自分が経験している事が何か、どういう意味を持つかという判断ができないからだ。
たとえば、近親者から(子どもへの性暴力は、そのほとんどが近親者や知人から行われる)、「これは、みんな普通にやっていることだ」「おまえが可愛いから」といって性暴力をふるわれても、子どもは自分が何をされているのか判断するすべがないのだ。
この歌を使った授業は身体部分の名称を教えるだけでなく、自分にとって大切な場所「プライベートゾーン」を教えるものなのだ。自分を守るため、そして、誰かの大切な場所をむやみに侵害してはいけないという、人権の最も大切な基本を教えるために使われている教材だ。

また、七生養護学校は「スージーとフレッド人形」という、体毛や性器のついた人形を教材として使っていた。海外では、性教育を進めていく上で一般的に導入されているもの。

私も同様のものを児童虐待防止学会の会場で何度も目にした。
トロルホームページ-からだがわかる人形-性教育人形「アナトミカルドール」
アナトミカルドールについて - NPO法人子ども虐待防止みやざきの会 - Yahoo!ブログ

それが、東京都教育委員会、性教育をよく思わない議員や市民の目から見るとこうなってしまう。(これらの教材は全て押収された)

性教育グッズ秘宝館
過激性教育都議ら視察


そして、偏見を持つ議員によって国会の場において以下のような質問が行われた。
平成17年3月4日(金曜日) 参・予算委員会 会議録(抜粋)
○山谷えり子君
 (略)
 次のページ、資料三ということ、ところをごらんになっていただきたいと思います。これは、吹田市の小学校一、二年生用、教育委員会が発行している性教育の副教材でございます。上から四行目、「お父さんは、ペニスを お母さんの ワギナにくっつけて せいしが外に出ないようにしてとどけます。」と書いてございます。市の教育委員会は、ほかの県からもとっても評判だからお渡ししていると言うんですね。小学校一年、これ、私、お母さんから届けられたんです。こんな教科書を子供たちに読ませている。許せない。
 次のページを見ていただきたいと思います。資料四でございます。
 これはセックス人形と言われているもので、東京都、石原都知事が、教育委員会が調べたものです。八十の小学校からこのセックス人形が出てきました。どういうふうにやるかという性技術をこういう人形を使って教えるわけです。ほかにもいろいろなグッズがあって、教育委員会が展示いたしまして、都知事は、校長の降格を含め、服務規律違反もございましたが、百十六人の教員を処分いたしました。
 隣のページは、神奈川県の公立の小学校三年生で使っている副教材でございます。
 このような教材、小泉総理に私、以前お尋ねしたこともあるんですが、そのとき総理は、ちょっと行き過ぎじゃないか、考え直さなきゃいけないとおっしゃったんですが、今も相変わらずこういうのが続いていて、私、父兄、父母から大変いろんな声いただくんです。どういうふうにお考えでございましょうか。


彼らは、アナトミカルドールをセックス人形と呼び、自らの価値観、性意識(あるいは性的ファンタジー)によって、真摯な性教育の教材をポルノにおとしめてしまったのだ。このような「性」と「ポルノ」の区別もつかないような議員達によって推し進められる「規制」がどのような形を持つのか、どのように運用されていくのか・・・。

私は、レイプレイ議論における「性行為」と「性暴力」の混同と、「性」と「ポルノ」の混同は同じ根を持っていると思っている。
この件を調べるうちに思い知ったのは、性行為と性暴力の違いが分かっていない人があまりにも多すぎるということ、それらは主に性差別意識から発しているが、そこから性暴力神話も二次被害も起こってくるのだと思う。最初に引用した「匿名ダイアリー」と同じように、世の中の人たち(全てではないことは十分承知しています)が性暴力に送る視線は、まさしく「ポルノ」を観るのと同じなのだ。性犯罪裁判の傍聴を趣味とする「○態オヤジ」は、その先鋭化された例に過ぎない。



参考:

■荻上式BLOG
七生養護学校の件について 
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20090317/p1

■かめ?
根っこは、伸びる。つながる
http://blog.livedoor.jp/gegenga/archives/51671235.html

■あなたは悪くない
性被害についての認識のずれ(はてなブックマーク)
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://manysided.blog85.fc2.com/blog-entry-14.html

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