2008年12月25日

ミュンヒハウゼン症候群とは?

20日以上、放置してしまいました。
クリスマスだというのに、例のごとく児童虐待のはなし…。

昨日、驚くような(?)ニュースが飛び込んできました。

1歳娘の点滴に汚染水 殺人未遂容疑で母逮捕(iza)
重病で入院中の1歳10カ月の娘の点滴に、注射器で腐敗した水を注入して殺害しようとしたとして、京都府警捜査1課と川端署は24日、殺人未遂容疑で、岐阜県関市の無職の女(35)を逮捕した。「死亡させるつもりはなかった。病状が悪化すれば娘に付き添って看病してやれると思った」と供述しているという。女は夫と長女、五女の4人家族で、次女と三女、四女の3人も幼いころ、相次いで病死しているという。

 
「代理人によるミュンヒハウゼン症候群」が疑われると報道されています。
(私も同感です)

児童虐待の援助に関わっている人なら、この疾患についてご存じだろうと思いますが(その手の参考文献には、ちょっとだけ書いてありますので)、一般の方は「何それ?」ですよね。

「(いわゆる)ミュンヒハウゼン症候群」ですが、医学的な診断名は「虚偽性障害」と言います。(ミュンヒハウゼンは「ほらふき男爵の冒険」の主人公の名前に由来しています)
簡単に言うと「病気になりたくて仕方がない人」です。

同じように病気と偽る詐病との違いは、金銭や利益を求めるためではなく、周囲からの同情や関心を引こうとする心性が動機になっているところです。
様々な手段(今回のように細菌や汚物の使用、薬品を使う、尿検査の尿に自分の血液や卵白を混ぜる、体温計を暖める、やけどを皮膚病と偽る、などなど)を用いて症状を「ねつ造」します。また、精神的な症状を訴える人もいます。
詐病は、あくまでも病気のフリをします(治療自体は望んでいない)が、虚偽性障害では、色々な手段を使って「症状そのものを作り出し」実際に医療行為(検査、手術、投薬など)を受けるのですから、大変な苦痛と命の危険を伴います。そうまでして他者からの関心を得たいのが、この病気の本質です。

この疾患が単体で発症することは、ほぼ無いと言われています。何らかのパーソナリティ障害との関連が考えられます。(境界性や演技性パーソナリティ障害など)
「虚言症」(現在では正式な診断名ではありません。症状学で言う「空想虚言」)との関連も強く示唆されます。
今回の場合は、自分の子どもを病気にして、看病する母親として周囲殻の同情や関心を得ようとしたのですが、これは、DSM4−TRの診断名では「特定不能な虚偽性障害」として分類されています。

こういったことが起きる一因として、母子の一体感が非常に強いこと、また、周囲も、そのような母子関係を期待するということがあげられると思います。
この母子一体感は出産直後の乳児への没頭(適切な育児行動)には不可欠ですが、反面、母親と子どもの境界線を危うくします。自分の子どもといえども「他者」であるという感覚を失ってしまうのです。

虚偽性障害の究極型である「頻回手術者(自ら症状を作り出して、何度も手術を受ける)」と言われる人は男性に多いのですが、代理人による虚偽性障害は、殆どが母親によるものだと思います。自他の境界のあやふやさや、自分への関心を得るために「子ども」を利用することなどは、他の形態の虐待にも通じるものがありますね。

自分の身体を使って「病気」を偽ることは、命の危険もありますし、病理としては深刻です。また、医療費の浪費という意味でも虚偽性障害そのものの治療が必要です。しかし、結果として害を被るのは、その人の身体です。冷たいようですが…。
今回のように、それが子どもに向かう時は、なんとしても食い止めなければなりません。「代理によるミュンヒハウゼン症候群」は虐待行為そのものです。


私が、この疾患(あるいは障害)に興味を持ったのは、10年ほど前に、1冊の本を読んでからです。↓
病気志願者―「死ぬほど」病気になりたがる人たち(原書房)
マーク・D. フェルドマン (著), チャールズ・V. フォード (著), 沢木 昇 (翻訳)

この本に書いてあることは、昨年、他界した私の母の病態そのものでした。母の口癖は「私は癌だ」というもの。
頻回の検査入院もしましたし、食べない(本人曰く、食べられない)ことによる極度の痩せ、風邪薬や睡眠薬の大量服薬での入院もありました。(今なら、境界性パーソナリティー障害と診断されるだろうと思います)。
心気症ではないかと思ったこともありますが、今は、やはり虚偽性障害だったのだろうと考えています。

母が50歳で(いまから20年以上前)子宮筋腫の切除手術をしたときのこと。
執刀した医師の説明によると「お母さんの筋腫は小さくて、今すぐに手術の必要は無いと思いましたが、ご本人がどうしてもおっしゃるので…」「ご本人は出血がひどいというし、若干の貧血が認められたから」というものでした。私も実際に切除された子宮を見ましたが、直径2センチと1センチ足らず筋腫が1つずつでした。
手術前に母は「腫瘍は大きく無いけれど、出血がひどいので手術した方が良いと主治医が言っているから」と、私に説明していました。
(最晩年の癌の治療が上手く行かなかったのは、「食べられない」が原因でした)

私自身も3〜4歳の頃、ちょっとした風邪をこじらせて3回入院しました(同時期に兄も風邪をこじらせて入院)。その後も、入院や手術を数回経験しています。これらが全て「代理による虚偽性障害」のためだったわけではありませんが…。


医療関係者は患者の訴えを信じます。信じなければ治療は成り立ちません。特に病気の子どもの「親」を疑うことは困難です。この事件が発覚したのは、相当に運が良いことだったのだろうと思います。こういったケースは想像以上に多いのかもしれません。

以前にも少し触れましたが、担当医が「変だな」と思っても、子どもに対する病理、行政・司法解剖などで死因の調査は殆ど行われていないようです。それは、先述しましたように、医療従事者の「患者(親)の訴えを疑わない」という心性から来ているのだと思います。

「まさかね…」
「そんなはず無いよね…」
「だって、親が…」

これは美点ではありますが、科学者としての自身の能力への不信感とも言えるでしょう。


参考になるサイト

福娘童話集 >「ビュルガー」

境界例と自己愛からの回復 >「虚偽性障害」

ウィキペディア(Wikipedia) >「虚偽性障害」
posted by akira at 23:41| Comment(2) | TrackBack(3) | 児童虐待 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月03日

どうしたら・・・

200812030136000.jpg2年半前に、引っ越し祝いでもらったゴムの木(当時は私の腰ぐらいだった)が、2メートル超え・・・。
そろそろ養いきれなくなってきました。

近所の公園に移植しに行くかな(冗談です)

posted by akira at 01:44| Comment(7) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする