2007年08月12日

急性ストレス障害とは

今話題の「急性ストレス障害」について今日は書いてみようと思います。
このblogでは今までずっと、トラウマとその後遺症について言及してきました。私自身もPTSD(PTSDについてはこちらをお読み下さい)の症状を持ち、カウンセラーとしてもトラウマとその後遺症のケアを専門分野としています。

あの横綱・朝青龍関の問題で「急性ストレス障害」という言葉が一人歩きは始めているように思えて非常に危機感を覚える一人です。(TVに出演する精神科医が、この診断に異を唱えないのが不思議でならないのですが・・・)

最初に診断した精神科医(色々あるようですがここでは言及しません)は、朝青龍関自身が(知人の紹介で)依頼して見て貰ったのだそうですが、その診断は‘神経衰弱’と‘うつ状態’で、しかも「あと数日でうつ病に移行する」ということでした。
この診断にマスコミは「今は神経衰弱等という診断名は存在しない」と反論していますし、コメントを寄せた精神科医は「あと数日でうつ病に移行する等と言うことはありえない。うつ病になるかどうかなど予言できない(要約)」といっています。(私も同感です)
売名行為とまでは言いませんが、メディアのインタビューで患者の診断名を喜々として話すというのは、医者としてどうなんでしょうか・・・。

今回話題になっている急性ストレス障害(以下ASDと表記)についても、私としては?が点っています。1回30分(メディアによっては40分となっていますが)の面接で、しかも本人は一言も発しない状況の中で、確固とした診断名を付ける精神科医がいること自体、驚きです。
一般の方は、精神科に受診すれば1回の受診であらかた診断が付くと思っていらっしゃる方も多いと思いますが、実際は診断名がつくまで、症状によって何回かの面接(アセスメント面接といいます)が必要です。
初回の面接でも(保険点数の関係で)とりあえず診断名は付けますが、その後に診断名が変わるのは良くあることです。ですので、初回の面接では、よほど確固たる症状がない限り差し障りのない診断名を付けます。

今回の診断名「ASD(アメリカの診断基準、DSM4−TRの基準)」では、まずは患者さんに「トラウマ」となる体験があるかどうかが基準になります。
トラウマという言葉も一般的になり、拡大解釈される傾向があるので、まずは医療機関で使われている診断基準(DSM4−TR)を引用して医療の世界ではトラウマをどうとらえているかを説明します。「ASD」の項のでトラウマについてはこう言っています。

1)実際にまた危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し、目撃し、または直面した。

2)その人の反応は強い恐怖、無力感または旋律絶に関するものである。

PTSDやASDなどトラウマ関連の診断名ができたのはベトナム戦争がきっかけでした。
戦争から帰ってきた元軍人の多くが、トラウマの後遺症を抱えていたことから、トラウマ、PTSD、ASDなどの診断基準が作られました。
具体的なトラウマチックな体験とは、戦争体験、自然災害(今回の新潟の地震とか)、(命に関わるような)事件、レイプ、DV、児童虐待などを指します。’心身の危機’を体験し、しかも、その人の許容範囲をこ超えているという事です。

朝青龍関が体験したことが、これらに当てはまると思いますか?
私には、そうは思えません。

以下にDSM4−TRの「ASD」の診断基準を引用しておきます。

A.その人は、以下の2つがともに認められる外傷性の出来事に暴露されたことがある。
1)実際にまた危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し、目撃し、または直面した。
2)その人の反応は強い恐怖、無力感または旋律絶に関するものである。
B.苦痛な出来事を体験している間、またはその後に、以下の解離性症状の3つ(またはそれ以上)がある。
 1)麻痺した、孤立した、または感情反応がないという主観的感覚。
2)自分の周囲に対する注意の脆弱(例=“ぼうっとしている”)
3)現実感消失。
4)離人証
5)解離性健忘。すなわち、外傷の重要な側面の想起不能)

C.トラウマとなった出来事は、少なくとも以下の一つの形で体験され続けている。:反復する心像、思考、夢、錯覚、フラッシュバックのエピソード、またはもとの体験を再体験する感覚:または外傷的な出来事を想起させられるものに暴露されたときの苦痛。

D.外傷を想起させる刺激(例=思考、感情、会話、活動、場所、人物)の著しい回避。

E.強い不安症状または覚醒亢進。(例=睡眠障害、いらだたしさ、集中困難、過度の警戒心、過剰な驚愕反応、運動性不安)

F.その障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている、または外傷的な体験を家族に話すことで必要な助けを得たり、人的資源を動員するなど、必要な課題を遂行する能力を障害している。

G.その障害は、最低2日間、最大4週間持続し、外傷的出来事の4週間以内に起こっている。

H.障害は、物質(例=乱用薬物、投薬)または一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものでなく、短期精神病性障害ではうまく説明されず、すでに存在していた1軸または2軸の障害の単なる悪化でもない。

以上のような症状が2日以上4週間未満続くのが「ASD」です。
同じような症状が4週間以上続けばPTSDと言う診断に変わります。
件の医師は面接時に一言も話さなかった朝青龍関から、これらのこと全てを見立てたのす。
見た目にボーっとしている(中核症状ではあります)。とか、付け人の証言から「余り眠れないようだ。食欲もない」程度のことしか聞けていないのに、「ASD」と確定診断をした医師。

先ほど言及したトラウマがあるかどうか以外にも、
「外傷的な体験を家族に話すことで必要な助けを得たり、人的資源を動員するなど、必要な課題を遂行する能力を障害している」についても疑問です。
朝青龍関は知人の紹介で最初の精神科医に診てもらっていますし、連日、友人知人の来訪を受け入れています。
また、今日のデイリースポーツの記事では
「アドマイヤ」を冠とする馬主として知られる近藤利一氏(64)が10日、2場所出場停止などの厳罰で急性ストレス障害などと診断された横綱朝青龍(26)=高砂部屋=を訪れ、本人と1時間50分、面談後、「睡眠薬を1回10錠ほど食べるようにのんでいる」などと横綱の“異常行動”を証言した。
 

と書いているのが事実だとすれば「薬物乱用」もしているわけですね。
またこの記事には、次のようなことも書いてありました。
“日本の父”という有力後援者は「まげはなく伸びた髪は洗わず、やせた様は戦国の野武士。妄想にからまり、発言は支離滅裂。1週間前には若い衆に乱暴し、窓から物を投げようとした姿を目撃した」と衝撃発言を連発。同席した高砂親方に「4回目の訪問だが、さらに悪化した。とても会見できる状態にない」と進言したという。

医師ではなく一般の人がいったことなので、この記事にある「妄想」「支離滅裂」などは割り引いて聞く必要があるでしょう。
しかし、若い衆に対する暴力や窓から物を投げようとしたなどは、少なくとも「ASD」の診断基準からは大きくはずれているのではないでしょうか。

・・・・。

私がここで異を唱えたとしても、私は医者ではありませんし、直接面談したわけでもありませんので、殆ど説得力はありません。

ですが、診断名のASDはPTSDの前駆症状と言えるものでもあります。PTSDは訴訟に深く関わっており、その信憑性が問われる事も多い診断名なのです。
ここで、朝青龍関に下された「急性ストレス障害」という診断名の信憑性が問われることで、本来の「ASD」や「PTSD」(DVや犯罪被害者の訴訟)に実際的な悪影響が及ぶことを危惧しています。

だれか、きちんとした精神科医がコメントを出してくれることを祈って止みません。
posted by akira at 02:50| Comment(0) | TrackBack(1) | トラウマ・PTSD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月06日

検査結果発表!

先週「骨折したかも」なんていう記事を書いて、
沢山の方にご心配をかけてしまいましたが・・・

本日、もう一度レントゲンを撮ったところ
「折れてません」
と太鼓判を押して頂きました。わーい(嬉しい顔)
「後は、ほっといて大丈夫」だそうです。

ギブスしなくてすんだー。よかったー手(チョキ)

ご心配かけてすみませんでした。あせあせ(飛び散る汗)


posted by akira at 16:51| Comment(8) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする